任意後見と法定後見の違いとは?7つのポイントをわかりやすく比較

任意後見と法定後見の違いとは?7つのポイントをわかりやすく比較 未分類

「任意後見と法定後見は何が違うの?」
「親の認知症が心配だけれど、どちらを利用すればいい?」
「元気なうちに準備しておいた方がいいの?」

成年後見制度について調べ始めると、「任意後見」と「法定後見」という2つの制度が出てきます。

大きな違いを一言でいうと、

任意後見は、判断能力が十分にあるうちに将来に備える制度。
法定後見は、すでに判断能力が低下した方を支援する制度です。

そのため、「どちらが優れているか」ではなく、本人の現在の状態や希望によって利用できる制度が変わります。

この記事では、任意後見と法定後見の違いをわかりやすく比較しながら、「自分や家族の場合はどちらを考えればよいのか」まで解説します。

※この記事は2026年8月時点の現行制度をもとに解説しています。2026年6月に成年後見制度を見直す改正法が公布されましたが、成年後見制度に関する改正部分はまだ施行されていません。改正内容については記事後半で解説します。

相続・遺言・終活でお悩みの方へ

「自分の場合はどうなる?」を
LINEで気軽にご相談いただけます

相続の手続きや遺言、これからの備えについて、
「何から始めればいいかわからない」という段階でも大丈夫です。

LINEで相談する

ご相談内容がまとまっていなくてもお気軽にご連絡ください

任意後見と法定後見の違いを一覧で比較

まずは、主な違いを一覧で見てみましょう。

比較項目任意後見法定後見
利用するタイミング判断能力が十分なうちに契約判断能力が低下してから申立て
後見人を決める人本人家庭裁判所
支援内容本人が契約で決める法律や家庭裁判所の審判に基づく
手続き公正証書で任意後見契約を締結家庭裁判所へ申立て
開始時期判断能力低下後、任意後見監督人が選任されたとき家庭裁判所の審判により開始
取消権原則としてない類型・権限に応じて認められる
本人の希望の反映比較的反映しやすい本人の意向も考慮されるが、最終的には家庭裁判所が判断

最も重要なのは、**「本人がまだ自分で判断できる段階かどうか」**です。

すでに判断能力が大きく低下している場合には、新たに任意後見契約を締結することが難しく、法定後見を検討することになります。

逆に、本人が元気なうちであれば、将来誰に何を任せるかを自分で決められる任意後見を検討できます。

成年後見制度には「任意後見」と「法定後見」がある

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分になった方の財産や権利を守り、生活を法律面から支援する制度です。

たとえば、判断能力が低下すると、

  • 預貯金や不動産の管理が難しくなる
  • 介護施設への入所契約が難しくなる
  • 必要な福祉・介護サービスの契約が難しくなる
  • 不利益な契約を結んでしまう
  • 悪質商法などの被害に遭う

といった問題が起こる可能性があります。

こうした状況に備えたり、実際に起きた後に本人を支援したりする仕組みが成年後見制度です。

成年後見制度は、大きく「任意後見制度」と「法定後見制度」に分かれています。

任意後見とは?元気なうちに将来の支援者を決める制度

任意後見は、本人の判断能力が十分にあるうちに、将来自分の判断能力が低下した場合に備えておく制度です。

本人自身が、

「将来はこの人にお願いしたい」

という相手を選び、財産管理や生活・療養看護などについて、どのような支援をお願いするかを契約で決めておきます。

任意後見契約は、公証人が作成する公正証書によって締結する必要があります。

ただし、契約をした時点ですぐに任意後見が始まるわけではありません。

その後、認知症などにより本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任すると、任意後見契約の効力が生じます。

任意後見の大きな特徴

任意後見のメリットは、本人の意思を事前に反映しやすいことです。

たとえば、

  • 誰に財産管理をお願いしたいか
  • どのような財産を管理してもらうか
  • 介護や施設入所に関する手続きをどうしてほしいか
  • 将来どのような生活を送りたいか

などを、判断能力が十分な段階から考えておくことができます。

「自分のことを、自分で決められるうちに準備しておきたい」という方に適した制度といえます。

法定後見とは?判断能力が低下した後に利用する制度

法定後見は、すでに本人の判断能力が不十分になった場合に、家庭裁判所へ申し立てて利用する制度です。

2026年8月時点の現行制度では、本人の判断能力の程度によって、

  • 後見
  • 保佐
  • 補助

の3種類があります。

後見

判断能力が欠けているのが通常の状態にある方が対象です。

保佐

判断能力が著しく不十分な方が対象です。

補助

判断能力が不十分な方が対象です。

どの類型になるかは、本人の状況や医師の診断書などを踏まえて家庭裁判所が判断します。

また、法定後見では「この家族を後見人にしてほしい」と希望を出すことはできますが、誰を成年後見人等に選任するかを最終的に決めるのは家庭裁判所です。

親族ではなく、弁護士や司法書士などの専門職が選ばれる場合もあります。

任意後見と法定後見の7つの違い

ここからは、それぞれの違いをもう少し具体的に見ていきます。

1.利用を検討するタイミングが違う

最大の違いです。

任意後見:判断能力が十分なうち
法定後見:判断能力が低下してから

となります。

「認知症になってから任意後見を契約すればいい」と考えていると、本人の判断能力の状態によっては契約できない可能性があります。

そのため任意後見は、「必要になったときに考える」のではなく、元気なうちに検討する制度だと考えておくことが大切です。

2.後見人を自分で選べるかが違う

任意後見では、本人が任意後見人となる人を選べます。

信頼している家族や親族だけでなく、専門家などを選ぶことも可能です。

一方、法定後見では成年後見人等を選任するのは家庭裁判所です。

候補者を希望することはできますが、必ずその人が選ばれるわけではありません。

3.任せる内容の決め方が違う

任意後見では、将来どのような事務を任せるかを本人と任意後見受任者との契約で決めます。

たとえば、

  • 預貯金の管理
  • 不動産に関する手続き
  • 税金や公共料金の支払い
  • 介護サービスの契約
  • 施設への入退所手続き

などです。

一方、法定後見では、法律の規定や家庭裁判所の審判によって、成年後見人等の権限が定められます。

4.手続きが違う

任意後見では、本人と任意後見受任者との間で公正証書による任意後見契約を締結します。

法定後見では、本人の住所地を管轄する家庭裁判所へ申立てを行います。

そのため、

「元気なうちに契約して準備しておく」

のか、

「判断能力が低下した後に裁判所へ申し立てる」

のかという違いがあります。

5.制度が始まるタイミングが違う

任意後見契約を締結しても、その日に任意後見人としての仕事が始まるわけではありません。

本人の判断能力が低下した後、家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されることで、任意後見契約の効力が生じます。

一方、法定後見は家庭裁判所による審判を経て開始します。

6.本人がした契約などを取り消せる権限が違う

法定後見では、類型や家庭裁判所から与えられた権限に応じて、本人が行った一定の法律行為について取消しが認められます。

一方、任意後見人には、本人が行った行為を取り消す取消権は原則としてありません。

任意後見人に与えられるのは、任意後見契約で定めた範囲の代理権です。

本人を悪質商法などから守る必要性が高いケースでは、この違いが重要になることがあります。

7.本人の希望を事前に反映できる範囲が違う

任意後見の大きな特徴は、判断能力が十分なうちから本人自身が将来について考えられることです。

誰にお願いするのか。

どのようなことをお願いするのか。

どのような生活を送りたいのか。

自分で考えて契約内容を決められる点は、任意後見の大きな特徴です。

法定後見でも本人の意思は尊重されますが、すでに判断能力が低下してから利用する制度であるため、元気なうちから準備する場合とは違いがあります。

任意後見と法定後見、どちらを選べばいい?

判断するときに、まず確認したいのは現在の本人の判断能力です。

任意後見を検討しやすいケース

たとえば、

  • 今は元気だが将来の認知症が心配
  • 将来支援してほしい人を自分で決めたい
  • 子どもや親族にできるだけ負担をかけたくない
  • おひとりさまで老後が不安
  • 将来の財産管理や介護について自分の希望を決めておきたい

といった場合です。

法定後見を検討するケース

一方で、

  • すでに認知症が進んでいる
  • 財産管理が難しくなっている
  • 介護施設などとの契約が本人だけでは難しい
  • 不利益な契約を繰り返してしまう
  • 判断能力の低下により重要な手続きができなくなっている

場合には、法定後見制度の利用を検討することになります。

ただし、判断能力は「認知症と診断されたかどうか」だけで機械的に決まるものではありません。

本人の状態や必要な支援によって適切な方法が変わるため、早めに専門家へ相談することが大切です。

「まだ元気だから大丈夫」という時期こそ考えたい

後見について相談されるご家族の中には、

「まだ一人で生活できているから大丈夫」

「認知症になってから考えればいい」

と思われている方も少なくありません。

しかし、任意後見は本人に十分な判断能力があるうちだからこそ選べる制度です。

体調や生活の変化は、ある日突然起こるとは限りません。

たとえば、

  • 薬の種類や量が増えてきた
  • 通院に家族が付き添うようになった
  • お金の管理に少し不安が出てきた
  • 同じ話を繰り返すことが増えた
  • 一人暮らしを続けられるか家族が心配になってきた

といった小さな変化が、家族で将来について話すきっかけになることもあります。

制度の手続きをすぐ始める必要はなくても、

「もしものとき、どうしたい?」

と元気なうちに話しておくことには大きな意味があります。

任意後見だけで将来の準備がすべてできるわけではない

将来への備えを考える際には、任意後見だけでなく、

  • 遺言書
  • エンディングノート
  • 財産管理等委任契約
  • 死後事務委任契約

などを組み合わせて検討する場合があります。

たとえば、任意後見は基本的に本人が生きている間の支援を目的とした制度です。

亡くなった後の財産を誰に引き継ぐのかについては、遺言など別の準備が必要になります。

そのため、

「任意後見契約だけしておけば安心」

と考えるのではなく、

現在の生活 → 判断能力が低下したとき → 亡くなった後

までを一続きで考えることが大切です。

【2026年最新】成年後見制度の改正が決まっています

2026年6月、成年後見制度の見直しを含む民法等の改正法が成立し、6月24日に公布されました。

2026年8月現在はまだ現行制度が適用されていますが、改正後は制度が大きく変わる予定です。

主な変更点として、

  • 現在の「後見・保佐・補助」の3類型を見直し、補助制度へ一元化
  • 本人に必要な範囲・期間で利用しやすい仕組みへの変更
  • 任意後見制度の利用をより柔軟にする見直し

などが予定されています。

成年後見制度に関する改正の施行日は、公布日から2年6か月以内で政令により定められることになっています。

したがって、現時点では従来の制度を前提に検討しながら、今後の制度変更にも注意する必要があります。

当事務所でも、制度変更を確認しながら最新情報をご案内していきます。

まとめ|元気なうちだから選べる選択肢があります

任意後見と法定後見の最も大きな違いは、利用するタイミングです。

任意後見は、判断能力が十分なうちに将来へ備える制度。

法定後見は、判断能力が低下した後に本人を支援する制度。

特に任意後見では、本人が元気なうちに、

  • 誰にお願いしたいか
  • 何をお願いしたいか
  • 将来どのように生活したいか

について考えることができます。

「まだ手続きするほどではない」と感じている段階でも、家族でこれからについて話しておくことはできます。

藤沢市で任意後見・終活についてお悩みの方へ

おもいつむぐ行政書士事務所では、藤沢市を中心に、任意後見や遺言、終活に関するご相談を承っています。

薬剤師・ケアマネジャー・FPとして培ってきた知識も活かし、法律手続きだけでなく、医療・介護・お金を含めて「これからの暮らし」を一緒に整理します。

「親のことが少し心配になってきた」

「任意後見が必要なのかわからない」

「何から家族で話せばいいかわからない」

という段階でも構いません。

初回30分のご相談は無料です。

まずは現在の状況をお聞かせください。

藤沢市・湘南エリアで相続にお悩みの方へ

相続・遺言・終活のお悩みを 一緒に整理しませんか?

おもいつむぐ行政書士事務所では、 藤沢市を中心に、相続・遺言・任意後見・終活についてのご相談 を承っています。

4つの視点から、ご本人とご家族のこれからを考えます

医療 介護 お金 法律

薬剤師・ケアマネジャー・FP・行政書士としての
知識と経験を活かしてサポートします。

こんな段階でもお気軽にご相談ください

  • 相続について、何から相談すればいいかわからない
  • 親に終活の話をしたい
  • 認知症になる前に何か準備した方がいい?
  • 自分は遺言書を作るべきかわからない
初回30分のご相談は無料です
LINEで無料相談する

ご相談内容がまとまっていなくても大丈夫です。
まずはお気軽にご連絡ください。

コメント