「親なきあと」にお金をどう遺すか?知っておきたい税金の優遇制度

障害のある子・ひきこもりの子をもつ親の不安と支えを表すイラスト 制度・手続き解説
障害のある子・ひきこもりの子をもつ親の不安と支えを表すイラスト

「うちの子に財産を遺しても、税金でたくさん持っていかれるんじゃないか」

障害のあるお子さんを育てていらっしゃる親御さんから、こんなご相談をよくいただきます。実はこの分野、国も「障害のある方の生活を守るため」にいくつかの優遇制度を用意しています。今日はその代表的なものを、なるべく分かりやすくご紹介します。

まず知ってほしい「特定贈与信託」という仕組み

一番大きいのが、この「特定贈与信託」による贈与税の非課税措置です。

信託銀行などに財産を託して、お子さんの生活費や医療費として定期的に給付してもらう仕組みなのですが、この信託を使って財産を渡すと、贈与税がかからない金額の枠がぐっと広がります。

  • 特別障害者(重度の知的障害・精神障害1級など)の場合:6,000万円まで非課税
  • 特定障害者(中軽度の知的障害・精神障害2級・3級など)の場合:3,000万円まで非課税

まとまった財産を一度に渡しても税金がかからない、というのは大きな安心材料ですよね。しかも信託銀行が管理してくれるので、「渡したお金を本人がすぐ使い切ってしまわないか」という心配にも対応できます。

相続税にも「障害者控除」がある

親御さんが亡くなって相続が発生したときにも、障害のある相続人には控除が用意されています。

考え方はシンプルで、「85歳になるまでの年数」に応じて相続税額そのものから差し引ける、というものです。

  • 一般障害者:残りの年数 × 10万円
  • 特別障害者:残りの年数 × 20万円

例えば30歳の特別障害者の方であれば、85歳まで55年ありますから、55年×20万円=1,100万円が相続税額から控除される、という計算になります。これは「税額控除」なので、単なる非課税枠よりも効果が大きいのが特徴です。

自治体の「心身障害者扶養共済制度」も選択肢に

これは税金の話というより保険に近い制度ですが、あわせて知っておいていただきたいものです。

親御さんが毎月掛金を積み立てておくと、万一のことがあった際、お子さんに終身年金が支給される仕組みです。この給付金には税金がかかりません。まとまった財産を遺すというより、「毎月決まった生活費を非課税で確保する」という意味で、特定贈与信託とは違った安心感があります

生命保険の非課税枠も忘れずに

生命保険金にも「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。これ自体は障害の有無に関わらず使える制度ですが、お子さんを受取人に指定しておくことで、確実に、かつ税負担を抑えてお金を遺す手段として活用できます。

家族信託との組み合わせ方

「家族信託」自体には、実は贈与税や相続税を非課税にする効果はありません。あくまで「財産の管理を託す仕組み」であって、税制優遇とは別物なんです。

ただ、特定贈与信託や相続税の障害者控除と組み合わせて設計することで、「税負担を抑えながら、長期的にお子さんの生活を支える」という全体設計が可能になります。ここは専門家と一緒に、じっくり組み立てるべき部分です。

一つだけ、大事なお願い

ここまでご紹介した制度は、あくまで「こういう仕組みがありますよ」という全体像です。実際にいくら非課税になるか、どの制度を組み合わせるのが一番良いかは、ご家族の財産状況やお子さんの障害等級によって変わってきますので、具体的な税額計算や申告については、税理士の先生にきちんと確認する必要があります。

知り合いの仲の良い税理士のの先生はご紹介はできますので、ご連絡いただければと思います。

行政書士としては、こうした制度の入り口をご案内したり、任意後見や遺言、家族信託といった「仕組みづくり」の部分でお手伝いすることができます。

「うちの場合はどれが使えるんだろう」——そんな段階からで大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。

おもいつむぐ行政書士事務所では、障害のあるお子さんをもつご家族の「親なきあと」対策として、任意後見・遺言・家族信託のご相談を承っております。税理士など他士業とも連携しながら、ご家族に合った形をご提案します。

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