こんにちは。おもいつむぐ行政書士事務所の角田です。
今日は少し、自分自身の話も交えながら書いてみようと思います。テーマは「多角的に見れる薬剤師の必要性」について。薬剤師の方はもちろん、医療・介護に関わるすべての専門職の方にも読んでいただきたい内容です。
薬の知識だけでは、患者さんを守れない時代
私は行政書士になる前、長年薬剤師として現場に立っていました。調剤室でひたすら薬と向き合う日々の中で、ずっと感じていた違和感があります。
それは、「薬のことだけを説明していても、目の前の患者さんの本当の困りごとには届いていない」ということでした。
例えばこんな場面、薬局で働いたことのある方なら心当たりがあるのではないでしょうか。
- 認知症が進んできたご家族の薬を、誰がどう管理するのか決まっていない
- 一人暮らしの高齢者が、薬代だけでなく生活費全体で行き詰まっている
- 「もしものとき」の医療方針を、本人と家族で話し合えていない
- 相続や財産の問題が心配で、薬どころではない様子のご家族
薬剤師としてできることは「薬を正しく届けること」です。でも、患者さんやご家族が本当に困っているのは、その手前にある「お金」「介護」「法律」の問題だったりします。薬の説明をどれだけ丁寧にしても、そこに気づかなければ、本当の意味で患者さんを守ることはできません。
なぜ「多角的な視点」が必要なのか
医療・介護・お金・法律は、実は現場ではバラバラに存在していません。一人の人間の人生の中で、すべてが絡み合っています。
高齢のご夫婦を思い浮かべてください。ご主人が認知症になれば、医療の問題であると同時に、介護の問題であり、財産管理(お金)の問題であり、任意後見や相続(法律)の問題でもあります。ひとつの出来事が、同時に4つの専門分野にまたがっているんです。
ところが現実には、医療は医師や薬剤師、介護はケアマネジャー、お金はファイナンシャルプランナーや金融機関、法律は弁護士や行政書士と、専門職ごとに縦割りになっています。それぞれの専門家は自分の分野には詳しくても、隣の分野は「専門外なので」と踏み込まない。結果として、患者さんやご家族は、あちこちの窓口をたらい回しにされることになります。
だからこそ、一人の専門職が「自分の専門分野プラスアルファ」の視点を持てるかどうかが、これからますます重要になってくると感じています。
多角的な視点を持つ薬剤師にできること
薬剤師という立場で考えると、多角的な視点を持つことで、こんなことができるようになります。
服薬管理の相談から、介護や生活の課題に気づける 「最近お薬の飲み忘れが増えましたね」という会話の裏に、認知機能の低下や、一人での生活が難しくなってきているサインが隠れていることがあります。薬の専門家だからこそ、変化に一番早く気づける立場にいます。
家族に「次に何を考えるべきか」を伝えられる 薬の説明のついでに、「そろそろ将来のことも家族で話し合っておくといいかもしれませんね」と、ひとこと添えられるかどうか。これだけで、ご家族が専門家に相談するきっかけを作れます。
他の専門職と話が通じる 医療知識があるからこそ、ケアマネジャーや医師との連携もスムーズになります。逆に、お金や法律の基礎知識があれば、ファイナンシャルプランナーや行政書士・弁護士とも同じ土俵で話ができます。
私自身、薬剤師としての経験があったからこそ、行政書士として相続や任意後見のご相談を受ける際に、「服薬状況から本人の判断能力の変化を推測する」といった視点を自然に持つことができています。これは、薬の知識と法律の知識、両方を持っているからこそできることです。
専門性を「深める」のではなく「つなげる」 誤解しないでいただきたいのですが、これは「専門性を捨てて広く浅くやりましょう」という話ではありません。薬剤師としての専門知識は、これからも変わらず大切です。
大事なのは、自分の専門性を軸にしながら、隣接する分野への「アンテナ」を持つこと。すべてを自分で解決する必要はありません。ただ、「これは介護の問題かもしれない」「これは法律の専門家に相談した方がいいかもしれない」と気づき、適切な専門職につなげられるかどうか。この「気づく力」こそが、多角的な視点の正体だと思います。
さいごに
薬剤師として現場に立っていた頃の私は、目の前の患者さんの本当の困りごとに、十分に応えられていなかったのではないかと感じることがあります。今、行政書士として医療・介護・お金・法律の視点から相談をお受けする中で、あの頃感じていた違和感の答えが少しずつ見えてきた気がしています。
薬剤師に限らず、医療・介護に関わるすべての専門職にとって、「自分の専門分野の外側にも目を向ける」ことは、これからの時代を生き抜くための必須スキルになっていくのではないでしょうか。
もし、ご家族の医療・介護・お金・法律のことで、どこに相談していいか分からないとお悩みの方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。



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